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11-12シーズンの自選10公演 ~ 震災楽季から量的にはV字回復 [その他オペラ関連]

夏休みの暇つぶしとして恒例の旧盆期を境界としたオペラ・シーズンの総括に前楽季のまとめ作業を実行。特徴は次の3点となって、1.楽季の幕開けの約1カ月は奇遇にも旧枢軸国の3団体が結集の「東京ベルカント祭」とも仮想の三人組の代表作を連続上演の好機に続いて後続の1カ月は内容はともあれ後夜祭的な演目が集中。とは言え前々楽季の折り返し点での自然+人為災害を直接影響の継続下に外国勢での2演目ではプリモ歌手の来日敬遠の決断と来日直前の急逝への代役投入によって招聘元は勿論に聴衆も期待利益を毀損の電力会社への損害賠償は不可能の上に契約解除も至難な極東の島国の現実に直面、2.一方でドイツ物では新春から半年間に外国人歌手を交えながらも国内団体が翌年に生誕200年を迎えるワーグナーの中期3作を順不同ながら半年間に集中上演の上に翌楽季早々での最終作公演を合わせると国内主要団体+公立劇場提携が揃い踏みの「生誕前年祭」とも言える盛況、3.参戦数では後半に震災直撃の前々楽季との比較でも映画分野の減少から全体での16回減に対してオペラ全曲では9公演14回増の総体としては震災楽季以前も上回るV字回復。全体数は108回で、会場順では例年どおり新国立劇場が23回(関連・貸し公演含む)、東京文化会館が前々楽季から倍増の18回で突出して以下、ほぼ同程度でのサントリホールが7回、専らオペラ映像での新宿ピカデリーが6回、東京オペラシティとオカモトヤビルが各5回の順。このうち、オペラ全曲公演は演奏会形式・抜粋公演・映像上映を含めて参戦総数の過半に到達の48公演59回に上昇。全曲公演の中から上演の全体内容に印象度を加味した自選のトップ10は次のとおり。(画像は近年の摩訶不思議現象と言える演目重複の好例として大作ながら昨春より14カ月で3回予定が残念にも震災中止の初回分の色刷チラシ)
11-12.jpg 1.「ロベルト・デヴェリュー」10月1日・バイエルン州立歌劇場
 東京公演の全日参戦から楽日を選択。初日の不出来を挽回の経歴の集大成にも通じる当代一流の入魂の歌唱にも増して悲劇では初実聴の公爵夫人役の力量を認識。
 「天空の紅一点や柿熟るる」
 2.「ローエングリン」10月2日・バイエルン州立歌劇場
 3回公演の楽日に参戦。代役主役の伸びやかで繊細な歌声が巨大劇場の天井桟敷まで響き渡って本作の美質の一面を十二分に堪能。
 「結納の祝ひ一打ち添水鳴る」
 3.「プリターニ」9月21日・ボローニャ市立劇場
 東京公演の全日参戦から中日を選択。台風による開始遅延と払戻措置の中を最も安定の叔父役を中心に代役2人を含めた独唱陣と伴奏の気迫に比較の上では最良と判断。
 「台風の過ぎて小鳥の声澄めり」
 4.「ローエングリン」6月10日・新国立劇場
 2回参戦の楽日を選択。外題役の容姿と同様に婦人層を直撃の特異とも言える"王子様歌唱"の衝撃度と適役性の観点のみで上位入りの異例公演。
 「去りてなほ心の空に虹光る」
 5.「コジ・ファン・トゥッテ」[演奏会形式] 11月13日・北区文化振興財団
 楽日に参戦。初演当時の再現を謳い文句の古楽器による伴奏によって"ダ・ポンテ三部作"の最終作に相応しい活力と情景表現に作品の魅力をさらに深化。
 「冴ゆる夜の夫婦の槇の揺らぎをり」
 6.「セビリャの理髪師」9月11日・藤原歌劇団
 全日参戦から楽日を選択。初演時と再演以降での両外題役主従の図抜けた出来映えと名匠の洗練の極みに到達の伴奏によって作品の傑作性も加勢の終演後の満足感は鮮明な記憶。
 「長老の指図天晴れ秋祭」
 7,「タンホイザー」4月5日・東京・春・音楽祭実行委員会
 初日のみ参戦。巨漢の外題役と夕星騎士役を中心に終始に男声陣の優勢に加えて百戦錬磨の指揮者の伴奏は後半からが真骨頂の楽日に後を引く弾力感。
 「春宵に森羅万象息ひそむ」
 8.「ナブッコ」2月19日・二期会
 全日参戦の敢えて初日を選択。一にも二にも本邦初御目見えの若手指揮者と作曲家の出世作との20代同士の化学反応で一期一会感に満ちた熱波の疾風怒涛は当夜が随一。
 「春疾風明日を持ち来よ心地良し」
 9.「ルサルカ」12月3日・新国立劇場
 4日目に参戦。歌唱もさることながら国内では外国人起用でも稀有な水の精の物語らしい青を基調の装置と照明の色彩効果に眼福の一夜。
 「寒水や青に碧に色気立ち」
10.「エルナーニ」9月25日・ボローニャ市立劇場
 今次来日公演の楽日に参戦。外題役の急逝悲劇の中で老公役の名唱と存在が全ての一人舞台を堪能と共にカーテンコールでの第二国家の大合唱に公演劇場の"文化"を記憶。
 「此処に居ぬ人を想ひて秋彼岸」
番外.「マクベス」7月28日・荒川区民オペラ
 初日組に参戦。隣接の北区とは対照的にアマオケが主催の独唱陣以外は市民参加の区営オペラながら夫人役を中軸に初期ヴェルディへの手作り感が独特の雰囲気を醸成。
 「下町の宙を揺るがし花火消ゆ」
以上の順位付けでは、3位までは昨秋の来日引越公演からの選択、6位までは国内団体での記憶に強く残る上演、9位まではそれに準じた公演という区分けでの各々の区分内では甲乙・丙丁が付け難く脳内の解明不能な思考回路の結果での序列となって大枠的に優・良・可的な色分け。
続いて公演中に離席の誘惑も生起の時折に苦行となったワースト3は次のとおり。
 1.「トロヴァトーレ」10月11日・新国立歌劇場 
 演出家の大味かつ直截的な視覚描写と指揮者の重心の重く生気に欠乏の聴覚展開の上に独唱陣の魅力にも欠けて"ベルカントの集大成"とは対極の暗黒世界。
 「丑三つの騎馬像蒼く冴ゑまさり」
 2.「こうもり」12月19日・新国立劇場
 独唱陣と演出は総じてウィーン由来の一方でピットはベルリン風味とも思える不均整によって鈍重無骨な伴奏の上に鳴り物入りの大歌手の抜けた声楽陣が上滑りの弾まない喜歌劇。
 「あの婆もこの人も無き年わすれ」
 3.「アイーダ」[演奏会形式・抜粋] 7月27日・新国立劇場
 1カ月後であれば強制中止もあり得た共催二国間の緊張関係を予言の来日陣の大陸流の威風堂々感と指揮者のオケ物流の唯我独尊感を再認識の奏祝の一夜。
 「灼熱の土用丑の日波鎮む」
*主な不参戦は、演目に関心なくボローニャ市立劇場「カルメン」、馴染み演目と価格での折り合いからウィーン国民歌劇場「こうもり」「メリー・ウィドウ」。
来る楽季もこれまでの地理的制約に加えて震災後遺症の続く時局に極東の島国まで勇躍来日を決断の外国勢、難局にこそ敢えて成果発表の場を求めてさらに活発化の同胞衆、米国発の景気低迷に追い打ちの苦境に果敢に挑戦の勧進元、もはや楽興の誘惑からの解脱不能な友人らに感謝しながら劇場通いを楽しみます。
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