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神奈川県民ホール「タンホイザー」 ~ 軽巡洋艦級の草食系ワーグナー [国内公演団体]

tannhauser-k.jpg3月24日・神奈川県民ホール・3階正面後方D席
年度末恒例の共に東西の両都に隣接の港湾と湖水との相違ながら水辺に立地の県営劇場が提携のオペラ興行に幸いにも本年は演目と演出に敬遠感も無く小雨の寒空の下で8年前に開業の会場まで徒歩圏内の最寄駅に乗り入れの私鉄を利用の遠征の首都圏初日へ参戦。当日は一昨年の地震、昨年の台風に続いて各駅停車への乗換駅ホームでの開演時刻40分前に発生と言うJR線での最寄駅路線の不通事故との電光表示に横浜行軍との私的相性と危機管理の必要性を実感しつつ当地名物の輪ゴム括りのチラシ類を受け取って入場すると早々に完売の最安席の空席も開演時刻にはほぼ皆無となって無事に多摩川渡河の諸兄姉に同慶しつつ吉例の俄かワグネリアンに転じて耳タコの名序曲の巡礼旋律が会場を満たせば本企画では4年前の「ばら」以来と記憶の独語物を前に作曲家初の脱番号オペラの位置付けとオケの特性、さらに当然に指揮者の個性も加味の結果なのか息の長い旋律を強調の歌謡性と歌心を表出の"間"の設定を基盤に繊細かつやや快速な「ルチア」から10年後との本作の初演年も想起の軽やかな響きの一方で主部と中間部の存外に希薄な対比感に先行きへの危惧も杞憂の後半部ではささやかな高揚感を伝播ながら各幕の大詰では畳み掛け感の不足の他に洞窟での離別歌、城内での再戦含みの歌合戦、その後の領主姪役の制止行為での作曲家が企図と推測の聖数を象徴の3回の同様行動で徐々に構築の高揚感の稀薄な淡泊とも言える展開の反面で総じてイタオペ派には後年の「マノン・レスコー」を連想の前幕までの雰囲気を一変の悲劇への御膳立てを形成のオケ版の「ローマ語り」とも言える"第3幕への前奏曲"での詩情感と起伏感の豊かな描写性など総譜の全体像を鳥瞰のような透明感とピット指揮者らしい呼吸感に優れた個性を表出の音楽づくりに好感。外題役は2週間前とはいえ既に初役と聞く関西での予行的公演を経て難役に果敢に挑戦の成果は最終幕の長口上も力感が十二分に伝播の大役を雄渾に完遂、その相手役は3回とも思える自役の見せ場での初回の登場歌では切り替えの具合が影響なのか高音域でのヴィブラート制御が不調ながら一旦の退場を経て中回のコンチェルタートでは見事に筋書展開の中軸として本領を発揮の一身で音楽的かつ演劇的に舞台を牽引の豊富な経験に裏打ちの力量によって劇的緊張感を創出して当日の白眉との拝聴から一転の終回はピットの好援護も加勢の中音域が中心の祈祷歌によって歌唱後の余韻も含めて大劇場空間に静寂と憐憫の空気を見事に醸成、他方で領主役を筆頭に脇役騎士連には高声の若手を除いて5年前の新国立劇場公演と同様に国内最大手の歌手団体の幹部級とその同世代が居並んで販促には各々の立場で相応に貢献と思いつつも感情表出に稀薄かつ歌唱自体に弱体など緊張を弛緩の効能を発揮。営業活動で各地を転戦の合唱団は指揮者の芸風と軌を一の発声と歌い回しは繊細表現に優れて殊に巡礼団場面はオペラには不釣合な程に宗教曲のような木目細やかな歌声を披露。演出予算は不明ながら本劇場が立地の政令市と最初の姉妹都市締結と言う太平洋対岸の港湾都市の劇場からの借用演出は友好関係は理解ながらも見方によっては当世では稀少な写実で一貫の国立歌劇場での本公演と同じく演題も含めて初演版を謳い文句の先代芸術監督の御披露目興行と構図は全く同様な「大ロマン的歌劇」に相応しい牧童の人影の背景幕への投影にはブロッケン山の魔人も想起の牧歌的な美術の中で奇数幕での巡礼の足取りは近代工場から帰路の期間工を彷彿の一群の様相に所属劇場または本公演での所作指導の手抜かりと共に往路と帰路で歩調に全く変化の無い殊に最終幕は疲労感の欠如に加えて折角に携帯の木杖を不使用の移動の段取りにのみ留意の壮健な集団行動を見せられても奇蹟譚の大詰に向けた感慨湧出への環境整備は未達状況と拝見。視覚面では舞台転換などの構想は首肯できるもののその再現に肝要な写実描写でのドサ回り感との落差に劇場との適合性を実感の一方で専ら聴覚面では指揮者も含めて唯一に排外陣容での上演成果にチューリンゲンの森林に密やかに開いた一輪の可憐な野花を見るような感慨に浸りつつ昭和の雰囲気が横溢の劇場を後にしました。
  「しとやかに春雨けぶる港街」 昭成
アフターシアターは、中核駅まで移動して百貨店内の「ル グラン」で。
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