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藤原歌劇団「フィガロの結婚」 ~ ロココ風味が棚引く伴奏美 [国内公演団体]

figaro.jpg3月4日・東京文化会館・5階下手F席
半年前の「セビリャ」に続いて「フィガロ三部作」の前半2作をオペラ史に刻印のロッシーニの伝導師が今回は偶然の代役による結果的には連投との椿事的好機に世事の不調での前日の初日組への予定を断念して若手が中心の楽日組のみへ参戦。開演45分前からピット前での15分間の公演監督による先代監督が字幕と共に創始と聞く直前解説では作曲家の天才逸話、秘密結社との関係などの史実的説明に続いて本公演に関連の衣装はローマ歌劇場の所有、最終幕の背景写真はヴェネツィア貴族の邸宅を特殊素材に焼付の本邦最大寸、さらに最終幕は暗闇設定との拝見上での留意事項が付加の簡ながら疎でない情報提供に加えて最後は最重要な半月後の控え陣でのアンコール公演の宣伝で降壇。チェンバロの不具合による開演の20分遅延の珍事を経て総じて若手感が否めない独唱陣の中での随一は「どろかさ」「タンク」に続く3度目のズボン役を拝聴の小姓役と映じて客席の最奥部まで響き渡る豊かな声量、配役の年齢には適切とも思える淡泊気味ながら充分な歌心、レチタティーヴォでの伊語会話を連想の抑揚感の諸面からオペラ歌手に相応しい力量で場内のやや沈滞の雰囲気を払拭の第6曲で実質的な開幕感を醸成の証左として客席も最大の拍手で反応の故かピットも次曲の三重唱から音量増幅かつ表現濃厚の好転に続いてさらに次幕の第11曲では最長の拍手を惹起の出来映えによって乾土に慈雨のような当日の救世主とも思える今後の起用と活躍に期待の存在と感受。座長格の伯爵役は旨味よりは持ち役の従者役と共に手慣れ感に優れて師弟関係と思しき最終幕の担当アリアでの燃料切れとも拝察の歌唱に象徴の外題役への今後の薫陶にも期待、女中役は戯作上での実質的な主役らしい習練の成果を発揮と思しき溌剌の歌唱と動作の一方でその主人役は先行作での伯爵従者も舌を巻く勝ち気な気性または本作後に赴任の駐英大使夫人らしい気品の何れにも帰着しない歌唱との観点で今後の舞台経験に期待の他に脇役陣では判事役をレッジェーロらしい美声で一服の清涼剤として拝聴。目当ての伴奏は昨秋の古楽器での「コジ」と同様に通奏低音を付加の趣向にも傾聴しつつ傘寿を超えてなお連日での各90分間の2部仕立てを立ち通しの体力にも増してコントラバス3本の小編成ながら一瞬も停止感どころか着地感すら抱かせないしなやかで伸びやかで軽やかな当代では稀有にも思えるロココ的な楽調でのトレモロ音符の明瞭度、低弦のさりげない隆盛感など音楽の生命感が伝播の軽快感と透明感に溢れて殊に第14曲での優雅な音質感と切迫の音型感が併存の状況描写を先導にオペラ史で屈指の名場面と周知の愛好の大終曲では領主派と従僕派との3回戦半の対決局面の殊に主役の登場からさらに原告側三人組の出現へと聴く者を否応なく楽興の桃源へと誘引の語り口は絶品ながら残念にも最終幕では慣例とはいえ主催団体には期待の女中頭と音楽教師のアリアは割愛。有料パンフに掲載の40余年前と言う主催団体による本演目の前回公演のカーテンコールと表示の舞台写真での男性合唱の扮装から隊長風体が三歩手前に陣取る官憲風の装束、指揮者近くに夫人役の不在、黒衣長身から音楽教師役と思しき歌手の蝙蝠傘の携帯、舞台中央に設置の衛生用にも見える手水盥などの諸点から「セビリャ」を連想の風景からも半年前の同作との連動企画とも拝察ながら興行事情からか連投可能2役では僅かに一例のみ実現の初日組の医師役は脇に置いても天恵の伴奏に因って作曲年代は前後とはいえ神童の伊語物の衣鉢を継承とも愚考の天才の傑作との連編感を初めて実感と同時に偶然にも昨秋からの4カ月足らずで「ダ・ポンテ三部作」の逆順での拝見から俊才と異才と凡才の演出の魅力を度外視の上でもやはり最終作の別格的魅力の再確認と共に4カ月後の老匠のオケ演奏、15カ月先の俊英が伴奏の「コジ」を楽しみに劇場を後にしました。
  「たわやかに揺れる柳や風見ゆる」 昭成
アフターシアターは、隣駅まで徒歩の「井泉」で。
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